俳句『麦の会』on HatenaBlog

『麦の会』俳句結社。俳句雑誌『麦』を毎月発刊。

俳句雑誌『麦』2023年11月号(通巻851号)

俳句雑誌『麦』2023年11月号(通巻851号)

★「猫」         対馬康子(5句)
 
名を変えて世が逃げてゆく月の下
 
★特別作品「蝌蚪の足」  中村安子(15句)
肩上げの浴衣月日のあともどり
サックスの余韻ゆらめく月の舟
地虫出ず近い将来飛ぶ車

 

★地熱深耕   地熱集より対馬康子選
 
​只管打坐してふところに青山河   杉本青三郎
本閉じる誤訳のような梅雨の月   村田珠子
もう飛べぬ木霊の目見にある白夜  梅木俊平
 
★2022年巻頭作家特別作品(各10句)
 
​『潮騒』   川守田美智子
   潮騒に胎児の記憶星涼し
『施行』   松末充裕
  よく伸びる飛行機雲や爆心地
 
『晩夏光』  村田珠子
  頓服に眠る半日水中花
 
『夏逝く』  上田昭子
  羽蟻発つまつろわぬもの身の内に
 
『騙し舟』  星深雪
  風は春人を愛して人避けて
 
『口乗』   綾野道江
  選り抜きを持たせて寄越す胡瓜
 
『地球儀に』 片山一行 
  秋霖の密度にうすき水浴びる
 
『故郷』   山川さち子
  八十八夜砂利砂利と猫の舌
 
『虚空』   小野富美子
  老鬱の裏側明るすぎる花野
 
『街の鳥』  五十里順三
  自転車でかけつけし風の盆かな
 
『海を恋う』 田中朋子
  和訳で歌う小春日の無伴奏
 
『新茶汲む』 垂井道夫
  地震あとの無音の空や朴の花
 
★踏生集   同人自薦作品5句
 
​★原生林(俳句教室)  斉田 仁 選
 
​​​熱帯夜手元に賢治の「春と修羅
 
★誌上句会・・・四人の選者が交代で読む・選ぶ
 
​選者   東圭子
テーマ「電信柱」
 
夕焼と電信柱と自転車と     林厚夫
モノクロの電信柱八月の墓標   川守田美智子
電柱のたわみ続ける晩夏光    尾内以太
 
 
その他
 
 
 
見本誌を進呈しています。
下記へお申し込みください。

〒343-0026
越谷市北越谷3-12-6 藤井方 麦の会発行所
 
メールでのお問い合わせ(見本誌含む)
中山宙虫
sorandatte.dayo@ymail.ne.jp
 
★2023年9月 「麦の会」のブログはこちらへ移転。 
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麦全国大会やってます!

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2013年10月15日。

令和5年度麦の会全国大会。

今年は熱海で開催中。

初島へ吟行で渡った。

吟行句を仕上げた面々。

夜は懇親会で盛り上がった。

明日は俳句大会及び吟行俳句大会と午前中で上がった。

 

俳句雑誌『麦』2023年10月号(通巻850号)

俳句雑誌『麦』2023年10月号(通巻850号)

★通巻850号記念特集★


昭和21(1946)年、中島斌雄により創刊された『麦』は、脈々と歴史を重ね、今号で通巻850号に到達。

通巻850号記念の特集記事及び850号記念誌上合同句集「麦の輝」を企画掲載。
「麦の輝」には、164名の同人及び誌友が参加。
 
次に目指すは通巻900号。
また歩みを続けていく。
 
以下通常記事より
 
★「地層」        対馬康子(5句)
電源を抜いて秋の日秋の声
 
★特別作品「試す夏」   森 敦子(15句)
なぜという疑問の責めや水中花
いのちさえ我が物でなし月天心
長居して落葉時雨をきく墓参   

 

★地熱深耕   地熱集より対馬康子 選

浅はかな日の白玉も光りけり    笠井亞子

さそり座も旅する一座洗い髪    坂田晃一

割り算の端数集めてゆく暑さ    田中朋子

 

★踏生集   同人自薦作品5句

 

★原生林(俳句教室)  斉田 仁 選

アスパラガスが飛んでいったよロケットか  原 泰造

 

★誌上句会・・・四人の選者が後退で読む・選ぶ

 

選者    野川 京

テーマ「重」

 

ががんぼの影の重さを曳く力  中村せつ

乳のみ児の命のにおい明易し  村田珠子

重荷には哲学がある星祭    有坂花野

 

 

その他

 

 
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俳句雑誌『麦』2023年9月号(通巻849号)

俳句雑誌『麦』2023年9月号(通巻837号)
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★「枇杷」      対馬康子(5句)
 
紅潮の海を見ている遠郭公
 
★特別作品「望郷」  坂本洋子(15句)
朧夜や拳届かぬ肩の凝り
燕来る空の続きに郷の空
青苔を剥がし戒名探す墓碑

​★地熱深耕   地熱集より対馬康子選
 
​白シャツのひとみ緩まず多聞天    上瀧雅子
夏暁や転がっている助詞ひとつ    小野富美子
ぶらんこ降りて神に踏まれる影法師  中山宙虫
 
​★第67回麦作家賞受賞第一作
 
​『腑分けのとき』   川守田美智子(20句)
 
余花残花手を離れない誰かの手
掌の虹あたたかく消えにけり
麦秋や風より軽きペンの音
 
​★第39回麦新人賞受賞第一作
 
『都市の迷宮』  徳山優子(20句)
 
チューリップぱっと咲いて情報過多
新宿で会いし文豪逝きし春
厄介な人間がいてちちろ虫
 
​『遠き蝉』    武内杉菜(20句)
 
スクランブル一人のモブのげんげ草
墨海の海月となるやエンドルフィン
かき氷過去食べ尽くす詩人来る
 
★踏生集   同人自薦作品5句
 
★原生林(俳句教室)  斉田 仁 選
 
​これやこの濃霧の大佛次郎館   藤田守啓
 
 
★誌上句会・・・四人の選者が交代で読む・選ぶ
 
​選者   松末充裕
テーマ「時間」
 
遥かなる地球琥珀に生きる蟻   川守田美智子
失われた時に漂いボート漕ぐ   千田真理子
飛花落花生者は死者に忘れられ  高階 斐
 
 
その他
 
 
 
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収穫祭第1位作品(R2年度~R5年度)

令和5年度『収穫祭』第1位(2名同時受賞)
 
 
人新世の空     尾内以太
 
 
冬深し羽は上手に落ちるため
早世の道へ折れずに寒卵
寒鴉血は空気より重たくて
五分後の鳥を目の追う木の芽風
はばたきにまぎれはくもくれんひらく
鳥の体温ほどの語や春の闇
鳥雲に黄色い線のそとがわへ
風光る化石となった青い鳥
とりたちの手は春風をつかむもの
かもめみな鍵のかたちや春夕焼
虹の端をくわえて鳩の帰還かな
くちばしのきしみつづける熱帯夜
鳥は手紙のうぜんかずらの青空
炎天はミサイルだけを残しけり
冷蔵庫ひかりの層を積もらせて
風の上に風あるというソーダ
夏終る野鳥観察しておれば
海鳥は脳を持ちさり敗戦忌
天の川放った石はやがて星
翼人の伝承としてかすみそう
台風の前夜を覆う鳥の群
木の実落つ銀の翼を遠ざけて
小鳥来る漂白された五線紙へ
恐竜の骨を隠して山眠る
生と死の境を曵いて浮寝鳥
鬱病や羽毛を雪へ変えながら
くしゃみのちみなもを離れゆく音よ
脚のない鳥を飛ばして開戦日
鳥からの種ふりそそぐ枯野かな
届くのは凍死している鳥の声
 
 
視力      笹木 弘
 
煮凝の解けて火星に水のあり
壺焼きの心中は穏やかならず
煩悩を吐き出し揺れる大水母
空蝉の眼に透ける琥珀の世界
亀が貌洗うごとくに秋時雨
石蕗の黄に目玉の乾く天日干し
生きていることを大事に初明り
下萌えや青き地球は生きている
天心の揺れを抑えし藤の花
鬼瓦の目玉を磨く青嵐
心の鎧を外して焚火の輪
不器用に生きて真面目な寒卵
武士道を貫き散りし白椿
死を以って明治維新や青嵐
天界の重みに耐えし白日傘
四次元と言う世界あり天の川
鮟鱇の幽体離脱見て仕舞う
過去のこと詮索せずに落椿
赤ん坊の足がぶらぶら梅雨晴間
神木の幣を映して水澄めり
自分の声静かに聞く文化の日
枯芒余計な力を抜いており
カーテンに猫のじゃれつくクリスマス
啓蟄や順番決める阿弥陀
針穴に糸の通りし春障子
七福の色をまぶして雛あられ
背中から不意討ち食らう威し銃
菰巻の結びに見せる江戸の粋
衰える視力を庇う帰り花

 

令和4年度『収穫祭』第1位

 
人鳥    燕北人空
 
​臆なんて泪もろい春なんだろう
ウイルスの狂い始めている余寒
融通の利かぬ肉体よなぐもり
死に様を考えている朧かな
偶然のめぐる人生半仙戯
天心の扉開きて初音かな
亀鳴くや開運線がくっきりと
人間に妬心シクラメンに仏心
へめぐりて芽吹きの声に耳立てて
猫やなぎ妄想癖のありそうな
チューリップたちの反乱前夜とや
菜の花の道は浄土へつづく道
和布干す町に元気な寡婦ばかり
潮騒が泪堪えている晩夏
捕虫網馬鈴加えて餓鬼のまま
関関と記憶を辿り閑古鳥
世の中を知らぬわたしと蟬の殻
人の世に人を愛せず海月になる
聞き流すことが半分アマリリス
かかずらう命みじかし秋深し
人鳥の淋しく叫ぶ銀河かな
十五夜の月のつぶやきからぼやき
こんじきの雲金色の十三夜
赤とんぼ海が恋しくなる日暮れ
青空のぽっかり開いてがなかなかな
自惚がしゃしゃり出てきて金木犀
悪霊に憑りつかれてる枯葎
まだこんな言葉があったかかまつか
隙間風ときに刃の刺すごとし
ゆくりなくつららが声を上げて泣く

 

令和3年度『収穫祭』第1位

黎明の汽車   片山一行
 
石硬きところ凍蝶蹲る
首の骨こきと大枯野に響く
強東風に鳩尾の骨軋むとも
初蝶の迷い込む海ふかぶかと
ゴンドラの影に手の消え春の雷
青嵐やサグラダファミリアの夜明
紫陽花の水の香りとすれ違う
海女もぐり泡あわあわと滲むなり
蜻蛉生る夜の滅びている時間
蛞蝓に瑞々しさのありて恋
油照りキリンの歯茎ひろがれり
茹卵ぷるんと剥ける原爆忌
戯れに蝉の殻へと水を遣る
船の波おり重なりて虹の橋
空蝉にぽとり木工ポンドかな
まっくらなむしかごの中の目の光る
石清水あるいは砂の花火とも
片蔭や安定剤の半減期
どのように置いても淋し冷奴
馬の背に雲の跨がり秋の立つ
母猫の乳首の赤し曼珠沙華
サーカスの仕舞われて蛇穴に入る
火恋し地球の底へ水の落つ
ひょんの実の中にあしたの風がある
或る星のなみだのひかり虫時雨
からすうり袖の奥へと光りけり
黎明に汽車は花野と入れかわる
まなうらのもっとも重し吾亦紅
てのひらの中に氷河が檸檬切る
水切りの最後は沈みけり野萩

 

令和2年度「収穫祭」第1位


しゃぼん玉     島田貞子
 
露座仏の昏き体内春を待つ
立春の連名で来る招待状 
旬という恵みしゃきしゃき春キャベツ
春の雲地球を測る測量士
目を覚ますタイムカプセル花菜風
木の芽和え母の手順を真似てみる
我が町の小さな銀座沈丁花
しゃぼん玉探す地球の非常口
梅雨深し不足の切手貼り足して
糠床の天地を返す夏隣
音頭取る氏子総代声涼し
傷一つ増やし少年夏休み
サーファーの波待つ波間遠岬
炎昼や丸い背中が草を曳く
流木に残る体温晩夏光
波の間に人魚は眠る赤い月
捨て舟の浜に朽ちゆく稲光
秋の陽のすとんと落ちて詩人の死
正論を収め秋刀魚の骨を抜く
秋風や若き武士自刃の地
父であり子であり兵士木の実踏む
小春日や石に戻った道祖神
屋根葺きの声掛け合うも冬日
大根に面取り雨に姉が来る
キャスターの渋いネクタイ冬隣
冬の月異国の破船洗う波
頬紅は笑顔の形初化粧
少し幸せ初富士の夕映えて
寒椿今なら分かる親不孝
体幹の軋みを正し寒の水